やわらかい・飲み込みやすい
かたいものが噛みにくい、あるいは噛めないという場合は、ミキサーなどで粒のない状態にした食材をゼリー状にすることで、噛まなくても飲み込みやすい状態にします。
噛むチカラと食品形状については食べやすい食品の形状ページ(←リンクしています)を参考になさってください。
一般に、ゼリー状にかためる場合の方法としては、ゼラチンや寒天などがよく使われます。もちろん、これらを使うこともできますが、加熱したり冷やしたりと温度を変える手間がかかります。
食べ物や飲み物に混ぜるだけでゼリー状に
そこで、食べ物や飲み物に混ぜるだけで液体をゼリー状に固められるゼリー化パウダーを活用しましょう。
このゼリー化パウダーは、「ゲル化剤」と呼ばれる天然由来の安全な食品添加物です。ゲル化剤の「ゲル(gel)」は「gelatine(ゼラチン)」や「gel(ジェル)」と同じ由来を持ち、固まっている凝固状態を表します。
ゼリーや寒天もゲル化剤ですが、最近では、でんぷんからできたデキストリンや増粘多糖類(←説明ページにリンクしています)などから成る介護用のゲル化剤が開発されています。このサイトでは、介護用のゲル化剤をわかりやすく「ゼリー化パウダー」と呼んでいます。
ゼリー化パウダーの使い方は簡単。ミキサーを使う場合は、ミキサーに食材とゼリー化パウダーと水を入れて撹拌(かくはん)するだけ。かたさは水分とゼリー化パウダーの分量で調節します。飲み物などは、かき混ぜながらゼリー化パウダーを入れるだけです。あとはゼリー状にかたまるまで3分程度を待ちます。
とろみ剤と同様に、ゼリー化パウダーも複数のメーカーから市販されています。商品検索をなさる場合は「介護用 ゲル化剤」で検索されるとよいと思います。
市販されている介護用のゼリー化パウダーの特徴は、
●粉末状で、料理や飲み物に混ぜて使う
●どんな温度でも、数分程度の短時間でゼリー状にかたまる
と、とろみ剤と同様に、手軽でうれしいものです。
※水やジュースに混ぜる場合、撹拌5秒+膨潤タイム(※注)+撹拌5秒
※注 膨潤タイム:ゼリー化パウダーが水分を十分吸収して膨らみ、状態が安定するまでの時間を、ここではこう呼んでいます。
※かたまるまでの時間は製品のメーカーによって異なります
ただし、さまざまなメーカーの製品があり、中には溶けやすくてダマにはなりにくいけれど、味が変わってしまっておいしく作れないというものもあるようです。せっかくの味が台無しになってしまっては元も子もありません。まったく味を変えない製品もありますので、いくつか試されて作りやすいものをお選びになると良いでしょう。
ゼリー化パウダーの例(介護食品メーカー・宮源 ミキサーゲル)
※当サイトは掲載製品メーカーと広告契約関係はありません。
「とろみ」と「ゼリー状」の違いは、咽喉(のど)を通過するときのスピードです。
ゆっくり飲み込むことで誤嚥(ごえん)を防ぐ
「とろみ」よりも「ゼリー状」のほうが、凝集性(ひとつにまとまる力)が高いので、咽頭(のど)の通過が「とろみ」よりもゆるやかになります。誤嚥(ごえん)を防ぐには、ゆっくり飲み込むことが大切なので、簡単にゼリー状にできるのはありがたいですね。
この、手軽にゼリー状にできるゼリー化パウダーを使えば、「食べやすい食品の形状表」でAからCの、ある程度噛める方向けにも、フルーツゼリーなどのデザートや、ソースをゼリー状にしておかずにのせるといった形で、食事のメニューに変化を加えることができます。
私は、このゼリー化パウダーを水に溶いて「水ゼリー」を作って活用しています。数年前から、魚介のカルパッチョやサラダのドレッシング、刺身醤油にとろみをつけた「ジュレ」が流行っていますよね。このジュレが「水ゼリー」を混ぜるだけで簡単にできるのです。
少量の液体にとろみをつけるなら水ゼリー
ジュレを作るには、とろみ剤だとだいぶゆるくなるので、ゼリー化パウダーを使います。出し汁醤油やポン酢は使う量が少量なので、直接粉を入れて混ぜるのが難しいのですが、あらかじめ溶かしておいた「水ゼリー」だとすぐに溶けてくれます。
同量の水に同量のとろみ剤とゼリー化パウダーをそれぞれに混ぜてみるとわかるのですが、とろみ剤とゼリー化パウダーでは、固まる部分のかたさや粘り気が全く違います。
ジュースにとろみを付けるのは、本来とろみ剤の役割ですが、少量の水ゼリーで同じようにとろみを付けることができます。とろみ剤とゼリー化パウダーをきちんと使い分けてもいいのですが、水ゼリーでもとろみ剤の代用ができるので、私はゼリー化パウダーを多用していました。ただし、ゼリー化パウダーは入れ過ぎるとゼリー状に固まってしまうので分量に注意が必要です。
どうぞお役立てください。
<水ゼリーの作り方>
作りたい分量の水に1%のゼリー化パウダーを加え、ミキサーで10秒ほど撹拌する。
1分以上の膨潤タイムをとり、さらに10秒ほど撹拌する。5分ほどおき安定させる。
電池式クリーマーがあると少量の撹拌に便利。
※「膨潤」とは、食材の水分をゼリー化パウダーに吸収させ、ムースゼリー状にさせることです。
そのための時間を膨潤タイムとしました。
*水ゼリーのように、材料が液体だけで少量の場合、小型のクリーマーを使うと便利です。
電池式で軽く、大変使いやすいです。