やわらかい・飲み込みやすい
「どんなものをどんな風にしたら食べられるの?」
「一生懸命作ってもなかなかおいしいと言ってもらえない」
「作るのが難しそう」、「忙しくて作るのが大変」、「レパートリーが少ない」
「だけど、手作りのおいしい介護ごはんを食べさせてあげたい」
こんな風に悩みながら毎日を送っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
当初は自分を顧みる余裕もなかった
私自身も介護ごはんを作り始めた当初は、何をどうやったら食べられるのかわからずに本当に困りました。
自分の食事とは別に介護ごはんを作るのは肉体的にも精神的にも負担が大きく、想像以上に大変なことでした。来る日も来る日も一日の大半をキッチンで流動食作りに追われる毎日で、自分を顧みる余裕などありませんでした。
笑いに満ちていた食卓が、張りつめた雰囲気に包まれ、昨日まで食べられていたお粥を、今日は食べられないと言われた時は「わがまま」呼ばわりしたこともありました。それが、その日の体調によって変化するものだと知って申し訳ないことをしたと今でも深く後悔しています。
でも、そんな苦しい日はそう長くは続きませんでした。だんだんと慣れるにしたがって「簡単に・おいしく・楽しく」作れる時短調理のコツが見えてきたのです。
優しい気持ちで介護を続けるには
少し時間にゆとりができるようになると、次々と新しいレシピのアイデアが浮かび、早く試してみたくなりました。苦しかった介護ごはん作りは喜びに変わり、おいしいと言ってくれる笑顔を思い浮かべながら、楽しく介護ごはんを作れるようになりました。
優しい気持ちで介護を続けるには、ゆとりが必要です。時間のゆとりが心のゆとりを生みます。調理時間を短縮できれば、自分のための時間を持つことができ、自然と心にゆとりができます。そして、介護ごはん作りが楽しく思えるようになります。
初めてのことはうまくいかなくて当たり前です。時短のポイントを参考にしていただき、少しずつおいしいレシピを増やしていただけましたら幸いです。
料理を手間ひまかけて丁寧に作ることに喜びを感じていた私は、以前はファストよりスローフード派でした。「時短・簡単=手抜き」というイメージもあり、そうした文句に心魅かれることはありませんでした。
しかしそんな悠長な考えを一変させたのが、介護ごはん作りだったのです。
毎日、毎食続くからこそ時短調理が大切
流動食しか食べられない夫のために、お粥を作り、すべてのおかずをミキサーにかけ、さらに飲み込みやすいようにゲル化剤を使ってゼリー状にまとめる。この繰り返し。
一日の大半はキッチンでミキサーをまわし続けるという日々。特別に料理を用意する手間、ミキサーなどの道具を使わなければならない手間が毎日、毎食続くということは、想像以上に大変な労力です。
調理時間を短縮するすべを模索し、当然のように目が向いていったのが「冷凍保存で調理時間を短縮していくこと」でした。
クリコ流の最大の時短ポイントは「冷凍の大活用」です。
以前の私には「冷凍=品質劣化」というイメージがあり、使う分だけを買い求めて、新鮮なうちに調理するのを善しとしていました。ところが、必要に迫られて、冷凍庫を活用するようになってから、作業効率は格段に上がったのです。
冷凍庫の活用で調理時間は格段に短く
主食のお粥は、できれば生米からコトコトと作りたいところですが、炊いたご飯から作れば1/3の時間で済みます。さらに1食分ずつを冷凍しておけば電子レンジで温めるだけですから、さらに時間短縮できます。
おかずに使う野菜は普通よりも長めに茹でたり煮たり、場合によっては飲み込みやすくするためにゼリー化パウダーでまとめる特別な調理をしないとなりません。これも冷凍庫の活用でぐっと楽になりました。※「ゼリー化パウダーについて」はこちら(←リンクしています)
例えば、ほうれん草のお浸しの流動食を作るとしたら、「茹でる・切る・調味する・ゲル化剤を加える・ミキサーにかける」という5つの過程が必要でした。ところがこの5つの過程は、まとめて茹でたほうれん草をミキサーにかけた「ほうれん草のピュレ」を小分け冷凍しておけば、「使う分だけ解凍・味つけする・とろみをつける」の3つの手順に減ります。しかも、野菜のピュレの冷凍ストックはお浸しだけでなく、ほかの料理にも活用できるというおまけ付きです。
冷凍ストックはたくさんの料理に使えます
かぼちゃの煮物も「やわらかく煮る・皮を取り除く・ピュレにする・水分とゲル化剤を混ぜる」とするところを、冷凍のかぼちゃのピュレに直接調味料を混ぜれば簡単に煮物のピュレができます。必要に応じて、出し汁などの水分とゼリー化パウダーを混ぜますが、冷凍のかぼちゃのピュレがあれば、数十分かけて「煮る」時間を省くことができます。
豚の生姜焼きは調理後にゼリー化パウダーとともにミキサーにかけますが、これもまとめて作って1食分ずつ冷凍しておけば温めるだけです。
「冷凍?そんなの、当たり前じゃないの?」という声が聞こえて来そうですね。
そうなんです!でも、今さらですが「介護ごはんだからこそ冷凍保存が時短の要になる」んです。
噛む・飲み込む力が弱く固形物が食べにくくなった方には、ミキサーで粒のないピュレ状・ペースト状・ムース状・ゼリー状の食事を用意します。主食、主菜、副菜、汁物のすべてを家族の食事とは別に加熱調理し、そのうえミキサーにかけるという手間のかかる作業を毎食やっていては時間がいくらあっても足りません。
せっかく時間をかけてミキサーにかけるなら、冷凍分も作る
ミキサーやフードプロセッサーなどの道具を使わなければならない、ひと手間もふた手間もかかる介護ごはんだからこそ、冷凍保存を活用しない手はありません。
この手間の部分をまとめて済ませて冷凍してしまえば、あとは楽々!ゆとり時間の貯金ができるんです。
主食、調理済みのおかず、下ごしらえを済ませた食材を小分け冷凍保存しておくことで、普通の食事より手間のかかる介護ごはん作りもずっと楽になります。
それぞれ詳しく、どう冷凍するのか、どう活用すると時短になるのかをご紹介します。
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